皮下出血・血腫
手術後、傷の周囲の皮膚が紫色になることがあります。これは手術による出血が皮膚の下に広がることで起こります。多くの場合は自然に吸収され、時間の経過とともに改善します。また、傷の内部に血液が溜まり、腫れや痛みを伴う状態を血腫といいます。血液が多く溜まった場合には、処置が必要になることがあります。
白線ヘルニア(正中腹壁ヘルニア)は、お腹の中央を縦に走る「白線」と呼ばれる部分の腹壁が弱くなり、その隙間から腹腔内の脂肪や腸などが皮膚の下へ飛び出してくる病気です。おへその上や下、みぞおちからおへその間などに膨らみができることが多く、立ったときや咳、くしゃみ、お腹に力を入れたときに膨らみが目立つことがあります。初めのうちは痛みがほとんどない場合もありますが、時間の経過とともに膨らみが大きくなったり、痛みや違和感が生じたりすることがあります。また、ヘルニアの出口に腸などがはまり込んで戻らなくなる「嵌頓(かんとん)」を起こし、緊急手術が必要になる場合があります。
成人の白線ヘルニアは自然に治ることはなく、根本的に治すためには手術が必要です。
*臍ヘルニアとの違い*
白線ヘルニアは、おへそそのものではなく、おへその上やみぞおちに近い腹部の中央に発生することが特徴です。一方、臍ヘルニアはおへその部分に発生します。どちらも腹壁の弱くなった部分から腹腔内の組織が飛び出す病気ですが、発生する場所が異なります。
白線ヘルニア(正中腹壁ヘルニア)とは、お腹の中央を縦に走る「白線」と呼ばれる部分の腹壁が弱くなり、その部分に隙間(ヘルニア門)ができることで、腹腔内の脂肪や腸などが皮膚の下へ飛び出してくる病気です。白線は、左右の腹直筋などの筋肉をつなぐ部分で、もともと腹壁の中では比較的弱い部分です。そのため、加齢や肥満、腹圧の上昇などによって腹壁が弱くなると、白線の部分にヘルニアが生じることがあります。
おへその周囲にできる臍ヘルニアとは異なり、おへその上やみぞおちに近い部分など、腹部の中央に膨らみができることが特徴です。立ったときや咳、くしゃみ、お腹に力を入れたときに膨らみが大きくなり、横になると小さくなったり、押すと戻ったりすることがあります。
次のような症状がある場合は、白線ヘルニアの可能性があります。
一つでも当てはまる症状がありましたら、お早めにご相談ください。
白線ヘルニアは、腹壁の中央にある白線が弱くなることで発症します。
成人の場合、以下のような状態が発症に関係すると考えられています。
また、これらの要因が複数重なることで白線に負担がかかり、発症することがあります。
白線ヘルニアの診断は、問診と診察を中心に行います。
立った状態やお腹に力を入れた状態で膨らみを確認し、ヘルニア門の大きさや、膨らみの硬さ、押したときに戻るかどうかなどを確認します。
当院では、超音波検査(エコー)も積極的に行っています。
超音波検査では、
などを確認することができます。
超音波検査は放射線を使用しないため、被曝の心配がなく、身体への負担が少ない検査です。当院では、ヘルニア診療に精通した医師が自ら超音波検査を行い、診察所見とあわせて総合的に診断しています。手術方法を検討するために、より詳しい評価が必要な場合にはCT検査を行うことがあります。
白線ヘルニアは、自然に治ることはありません。薬や生活習慣の改善だけで根本的に治すことは難しく、基本的な治療は手術です。
白線ヘルニアの手術では、飛び出しているヘルニアの内容をお腹の中に戻し、弱くなった腹壁を人工補強材(メッシュ)を用いて修復します。メッシュを使用することで、ヘルニア門とその周囲を広く補強し、腹壁にかかる力を分散させ、再発を防ぐことを目的とします。
白線ヘルニアの手術では、全身麻酔を行います。
麻酔薬を点滴などから投与し、患者さんが眠っている状態で手術を行います。手術中は全身状態を確認しながら麻酔を管理しますので、手術中に痛みを感じたり、手術の記憶が残ったりすることはありません。
腹腔鏡を用いて、ヘルニアの位置や大きさ、腹腔内の状態、癒着の有無や程度などを確認します。
ヘルニア門の位置を確認した後、ヘルニア門の大きさに合わせて、皮膚を切開します。ヘルニア門全体を確認し、ヘルニアの内容をお腹の中へ戻したうえで、メッシュを留置するためのスペースを確保します。
ヘルニア門とその周囲を十分に覆うようにメッシュを留置し腹壁を補強します。必要に応じて、専用の器具を使用して固定します。

手術後の経過が順調な場合、術後30分程で歩行や飲水ができます。その後問題がなければ、術後2時間程で帰宅となります。帰宅後は室内での日常の動きに制限はありませんが、気分不快や創部の痛みが生じたときは休憩を取るようにしてください。デスクワークであれば翌日から復帰できる方も多く、日常生活も無理のない範囲で早期に再開できます。一方、重い物を持つ仕事や腹圧のかかる作業、激しい運動については、医師の指示に従って再開してください。術後の診察は、手術後1週間(抜糸をします)と2週間に行います。その後は、半年後と1年後にも超音波検査を行い、再発やメッシュの状態などを確認しています。
白線ヘルニアの手術は比較的安全性の高い手術ですが、どのような手術にも一定のリスク(合併症)があります。ここでは、白線ヘルニア手術で起こる可能性のある代表的な合併症についてご説明いたします。
手術後、傷の周囲の皮膚が紫色になることがあります。これは手術による出血が皮膚の下に広がることで起こります。多くの場合は自然に吸収され、時間の経過とともに改善します。また、傷の内部に血液が溜まり、腫れや痛みを伴う状態を血腫といいます。血液が多く溜まった場合には、処置が必要になることがあります。
手術後しばらくは、傷のつっぱり感や違和感を感じることがあります。メッシュを使用した場合には、身体に馴染むまでの期間に違和感が生じることがありますが、多くの場合、時間の経過とともに軽快します。
手術では感染を予防するために十分な対策を行っていますが、手術創(傷)に細菌が入り、感染を起こす可能性があります。軽度の感染であれば、傷の処置や抗菌薬による治療で改善します。非常にまれですが、人工補強材(メッシュ)に感染が起こった場合には、追加の治療やメッシュを取り除く手術が必要になることがあります。感染のリスクを下げるため、糖尿病の管理や禁煙など、手術前から患者さんと一緒に準備を進めることも大切です。
腹腔内の癒着が強い場合には、手術中に腸管や血管などを傷つける可能性があります。損傷が確認された場合には、その場で適切な処置を行います。
白線ヘルニアは、手術後に再発する可能性があります。メッシュを使用して腹壁を補強することで再発を予防しますが、再発の可能性が完全になくなるわけではありません。
白線ヘルニア手術は健康保険が適用されます。
費用は術式や負担割合によって異なりますが、高額療養費制度をご利用いただくことで自己負担額を抑えることができます。
※時間や使用する薬剤等により、多少の増減があることをご理解ください。
※高額療養費の対象となる場合、窓口でのお支払いは少なくなります。参照:協会けんぽ
手術中は麻酔を行いますので、痛みを感じることはありません。
手術は麻酔を十分に効かせた状態で行いますので、手術中の痛みはありません。術後は傷の痛みが出ることがありますが、痛み止めを使用しながらコントロールします。痛みには個人差がありますので、痛みが強い場合には遠慮なくご相談ください。
特別な処置は必要ありません。
創部は防水保護テープで保護してご帰宅いただきます。テープの内部に少量の出血がみられることがありますが、多くの場合は問題ありません。
術後の診察時に傷の状態を確認し、必要な処置についてご説明いたします。
シャワーは手術翌日から可能です。
浴槽につかる場合は短時間とし、傷口は強くこすらず、やわらかいタオルで軽く押さえるように水分を拭き取ってください。
仕事内容や手術後の経過によって異なります。
デスクワークであれば手術翌日から復帰できる場合があります。軽作業についても早期に復帰できる方が多くいらっしゃいます。
一方、重い荷物を持つ仕事や力仕事、腹圧のかかる作業については、術後の経過を確認しながら復帰時期をご案内いたしますので、ご相談ください。
散歩などの軽い運動は、体調に合わせて術後早期から可能です。
ジョギングや筋力トレーニング、ゴルフなど腹圧のかかる運動については、術後の経過を確認しながら再開していただきます。再開時期には個人差がありますので、診察時にご相談ください。
日常生活に大きな制限はありません。
階段の昇降や散歩、電車・バスでの移動は翌日から可能です。自転車や自動車の運転も可能ですが、痛みや違和感がある場合は無理をせず休憩してください。アルコールは処方薬の服用中はお控えください。
安全に手術を受けていただくため、以下の4つのお願いをしております。
ご不安な症状がありましたら、遠慮なく当院へご連絡ください。
術後は痛みや腫れ、皮下出血などがみられることがありますが、多くは時間とともに改善します。強い痛みや急な腫れ、出血など気になる症状がある場合は、速やかに当院へご相談ください
再発する可能性はありますが、メッシュを使用して腹壁を補強することで、再発を防ぐことを目的としています。手術後、時間が経ってから手術した部分が再び膨らんだり、違和感や痛みが生じたりする場合があります。このような症状がありましたら、再発の可能性がありますので、早めに当院へご相談ください。