皮下出血・血腫
手術後、傷の周囲の皮膚が紫色になることがあります。これは手術による出血が皮膚の下に広がることで起こります。多くの場合は自然に吸収され、時間の経過とともに改善します。また、傷の内部に血液が溜まり、腫れや痛みを伴う状態を血腫といいます。血液が多く溜まった場合には、処置が必要になることがあります。
臍ヘルニアは、おへその部分が膨らむ病気です。成人では比較的まれな病気ですが、自然に治ることはありません。初めは痛みがほとんどなく、おへその膨らみだけが気になるという患者さんも少なくありません。しかし、時間の経過とともに膨らみが大きくなったり、痛みや違和感が生じたりすることがあります。また、腸などがヘルニアの出口にはまり込んで戻らなくなる「嵌頓(かんとん)」を起こし、緊急手術が必要になる場合があります。
横浜みなと外科クリニックでは、外科専門医が診察から手術、術後のフォローまで一貫して担当しています。これまで5,000例以上の日帰り手術で培ってきた経験をもとに、患者さん一人ひとりの症状や生活スタイルに合わせた治療をご提案し、安心して手術を受けていただけるよう丁寧な診療を心がけています。
臍ヘルニアとは、おへその部分の腹壁が弱くなり、その部分から腹膜や脂肪組織、腸などがお腹の外側へ飛び出してしまう病気です。おへそは、胎児のときに臍の緒(へその緒)が通っていた部分で、もともと腹壁の中でも弱い部分です。そのため、加齢や肥満、妊娠・出産、腹水、慢性的な咳などによってお腹の中の圧力が高い状態が続くと、臍ヘルニアが発症することがあります。初めのうちは、おへその膨らみだけで痛みがないこともあります。立ったときやお腹に力を入れたときに膨らみが目立ち、横になると小さくなったり、押すと戻ったりすることがあります。しかし、時間の経過とともにヘルニアが大きくなり、痛みや違和感が強くなることがあります。また、腸などがヘルニアの出口にはまり込んで戻らなくなる「嵌頓」を起こすと、腸への血流が障害され、緊急手術が必要になる場合があります。
成人の臍ヘルニアは自然に治ることはないため、適切な時期に治療を受けることが大切です。
次のような症状がある場合は、臍ヘルニアの可能性があります。
一つでも当てはまる症状がありましたら、お早めにご相談ください。
臍ヘルニアは、おへその部分の腹壁が弱くなることで発症します。
成人の場合、以下のような状態がお腹の中の圧力(腹圧)を高め発症のきっかけになります。
また、腹壁を構成する組織の性質などが関係していると考えられています。
臍ヘルニアの診断は、問診と診察を中心に行います。
立った状態やお腹に力を入れた状態でおへその膨らみを確認し、ヘルニアの大きさや硬さ、押したときに戻るかどうかなどを確認します。
当院では、超音波検査(エコー)も積極的に行っています。
超音波検査では、
などを確認することができます。
超音波検査は放射線を使用しないため、被曝の心配がなく、身体への負担が少ない検査です。当院では、ヘルニア診療に精通した医師が自ら超音波検査を行い、診察所見とあわせて総合的に診断しています。
ヘルニアの状態をより詳しく確認する必要がある場合には、CT検査が必要となることがあります。その場合には、連携医療機関をご紹介しています。
成人の臍ヘルニアは、自然に治ることはありません。薬や生活習慣の改善だけで根本的に治すことは難しく、基本的な治療は手術です。
臍ヘルニアの手術では、飛び出しているヘルニアの内容をお腹の中に戻し、弱くなった腹壁を修復します。手術方法には、メッシュを使用せずにヘルニア門を縫い合わせる方法と人工補強材(メッシュ)を使用する方法があります。
ヘルニア門(腹壁の穴)が比較的小さい場合(15mm以下)には、メッシュを使用せず、ヘルニア門の周囲の組織を縫い合わせて閉鎖する方法があります。人工物を体内に留置しないため、メッシュに関連する感染などの合併症を避けられることがメリットです。
一方で、ヘルニア門が大きい場合には、縫い合わせた部分に tension(緊張)がかかり、再発の原因となることがあります。そのため、ヘルニア門の大きさや腹壁の状態を確認したうえで、適応を判断します。
ヘルニア門がある程度大きい場合や、腹壁の組織が弱くなっている場合には、人工補強材(メッシュ)を使用して腹壁を補強します。ヘルニア門とその周囲をメッシュで広く補強することで、腹壁にかかる力を分散させ、再発を防ぐことを目的としています。メッシュにはいくつかの種類や留置方法があり、ヘルニア門の大きさや位置、腹壁の状態などに応じて適切なものを選択します。
腹腔鏡を使用した手術では、全身麻酔を行います。麻酔薬を点滴から投与し、患者さんが眠っている状態で手術を行います。手術中は麻酔科医または麻酔を担当する医師が全身状態を確認しながら麻酔を管理しますので、手術中に痛みを感じたり、手術の記憶が残ったりすることはありません。
まず、腹部の適切な位置に約5mmの小さな皮膚切開を行い、腹腔内を観察するカメラ(腹腔鏡)を挿入します。腹腔鏡でヘルニアの発生部位や大きさ、周囲の状態、癒着の有無や程度などを確認し、メッシュを留置する最適な位置を判断します。
次に、ヘルニア門(ヘルニアの出口)の大きさに合わせて、臍の周囲を切開します。ヘルニア門全体を確認し、ヘルニアの内容をお腹の中へ戻したうえで、メッシュを留置するためのスペースを確保します。
腹腔鏡による観察結果をもとに、ヘルニア門の大きさや位置、周囲の腹壁の状態に適したメッシュを選択し、適切な位置に留置して腹壁を補強します。
腹腔鏡を使用することで、腹腔内からヘルニアの状態を直接確認できるため、外側からの観察だけでは分かりにくいヘルニアの状態や周囲の癒着などを確認しながら手術を行うことができます。

手術後の経過が順調な場合、術後30分程で歩行や飲水ができます。その後問題がなければ、術後2時間程で帰宅となります。帰宅後は室内での日常の動きに制限はありませんが、気分不快や創部の痛みが生じたときは休憩を取るようにしてください。デスクワークであれば翌日から復帰できる方も多く、日常生活も無理のない範囲で早期に再開できます。一方、重い物を持つ仕事や腹圧のかかる作業、激しい運動については、医師の指示に従って再開してください。術後の診察は、手術後1週間(抜糸をします)と2週間に行います。その後は、半年後と1年後にも超音波検査を行い、再発やメッシュの状態などを確認しています。
臍ヘルニアの手術は比較的安全性の高い手術ですが、どのような手術にも一定のリスク(合併症)があります。ここでは、臍ヘルニア手術で起こる可能性のある代表的な合併症についてご説明いたします。
手術後、傷の周囲の皮膚が紫色になることがあります。これは手術による出血が皮膚の下に広がることで起こります。多くの場合は自然に吸収され、時間の経過とともに改善します。また、傷の内部に血液が溜まり、腫れや痛みを伴う状態を血腫といいます。血液が多く溜まった場合には、処置が必要になることがあります。
手術後しばらくは、傷のつっぱり感や違和感を感じることがあります。メッシュを使用した場合には、身体に馴染むまでの期間に違和感が生じることがありますが、多くの場合、時間の経過とともに軽快します。
手術では感染を予防するために十分な対策を行っていますが、手術創(傷)に細菌が入り、感染を起こす可能性があります。軽度の感染であれば、傷の処置や抗菌薬による治療で改善します。非常にまれですが、人工補強材(メッシュ)に感染が起こった場合には、追加の治療やメッシュを取り除く手術が必要になることがあります。おへそは皮膚のくぼみがあるため、他の部位と比較して感染に注意が必要な部位です。感染のリスクを下げるため、糖尿病の管理や禁煙など、手術前から患者さんと一緒に準備を進めることも大切です。
手術後、おへその形が手術前と変わることがあります。おへそのくぼみ(臍窩)が浅くなったり、左右差が生じたりすることがあります。多くの場合は経過とともに落ち着いていきますが、手術前とまったく同じ形にならない場合があります。
臍ヘルニア手術は健康保険が適用されます。
費用は術式や負担割合によって異なりますが、高額療養費制度をご利用いただくことで自己負担額を抑えることができます。
※時間や使用する薬剤等により、多少の増減があることをご理解ください。
※高額療養費の対象となる場合、窓口でのお支払いは少なくなります。参照:協会けんぽ
手術中は麻酔を行いますので、痛みを感じることはありません。
手術は麻酔を十分に効かせた状態で行いますので、手術中の痛みはありません。術後は傷の痛みが出ることがありますが、痛み止めを使用しながらコントロールします。痛みには個人差がありますが、多くの患者さんは歩いてご帰宅され、翌日も歩いて受診されています。
特別な処置は必要ありません。
創部は防水保護テープで保護してご帰宅いただきます。テープの内部に少量の出血がみられることがありますが、多くの場合は問題ありません。
術後の診察時に傷の状態を確認し、必要な処置についてご説明いたします。
シャワーは手術翌日から可能です。
浴槽につかる場合は短時間とし、傷口は強くこすらず、やわらかいタオルで軽く押さえるように水分を拭き取ってください。
デスクワークであれば手術翌日から可能です。
軽作業であれば翌日から復帰できる方が多くいらっしゃいます。重い荷物を持つ仕事や力仕事をされる方は、仕事内容に応じて復帰時期をご案内いたしますのでご相談ください。
軽い運動は手術翌日から可能です。
散歩やストレッチなどの軽い運動は翌日から行えます。ジョギングや筋力トレーニング、ゴルフなど腹圧のかかる運動は、術後約2週間を目安に再開していただいています。
日常生活に大きな制限はありません。
階段の昇降や散歩、電車・バスでの移動は翌日から可能です。自転車や自動車の運転も可能ですが、痛みや違和感がある場合は無理をせず休憩してください。アルコールは処方薬の服用中はお控えください。
安全に手術を受けていただくため、以下の4つのお願いをしております。
ご不安な症状がありましたら、遠慮なく当院へご連絡ください。
術後は痛みや腫れ、皮下出血などがみられることがありますが、多くは時間とともに改善します。強い痛みや急な腫れ、出血など気になる症状がある場合は、速やかに当院へご相談ください