HYDROCELE TESTIS

陰嚢水腫|日帰り手術(自費)

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Hydrocele Testis

成人の「陰嚢水腫」とは

陰嚢水腫(いんのうすいしゅ)とは、精巣(睾丸)を包み込んでいる膜のすき間に、リンパ液などの水分が過剰に貯留し、陰嚢が大きく腫れ上がる疾患です。小児期と成人以降では発症のメカニズムが異なります。
横浜みなと外科クリニックでは、豊富な執刀経験に基づき、患者様の症状の程度やライフスタイルに合わせた最適な治療方針をご提案いたします。気になる症状がありましたらお気軽にご相談ください。
※当院が提供する陰嚢水腫の根治手術は、特殊な医療機器を使用するため初診から全て「自費診療」となります

CONTENT

目次

マイクロ波手術器(アクロサージ)を用いた日帰り手術(自費)

当クリニックでは、電子レンジで使われる、『マイクロ波』というエネルギーの熱を利用して組織を凝固した後、そのまま切開できる特徴を持つマイクロ波手術器(アクロサージ)という医療機器を用いた日帰り手術を行なっています。

アクロサージ(マイクロ波手術器)

アクロサージはマイクロ波を照射して組織を凝固させながら、剪刀(ハサミ)で切離する新しいエネルギーデバイスです。

アクロサージデバイス Palm

アクロサージデバイス Palm 直視下手術に特化し直感的な使用感を追求した剪刀

<マイクロ波手術器(アクロサージ)の特徴>

止血効果が高く出血のリスクが低い

水腫壁を切除する際に血管や組織を瞬時に凝固しながら切開するため、手術中の出血を最小限に抑えます。これにより合併症のひとつである陰嚢内血腫・漿液貯留のリスクも低減します。

身体への負担が少ない

従来の手術法では、水腫の壁を切除した断端(切除した部分)を糸で縫合する必要があります。これは切除した部分からの出血を予防するための処置です。また、術後に陰嚢内にドレーン(血液等を体外に出すための細い医療用のチューブ)を入れるため一定期間の入院が必要です。
アクロサージを使用した場合はこの縫合処置は不要です。そのため、手術時間が短縮でき、また術後の疼痛や違和感が軽減できると考えられます。また、ドレーンを入れる必要がないため入院が不要です。

きれいな仕上がり

熱による周辺組織への損傷が少なく、傷の治りも綺麗になる傾向があります。

①陰嚢水腫手術陰嚢の皮膚を切開する様子

①陰嚢の皮膚を切開する

②陰嚢水腫を剥離する様子

②水腫を剥離する:陰嚢皮下組織と精巣固有鞘膜との間を剥離

③精巣固有鞘膜を切開し内容液を吸引する様子

③精巣固有鞘膜(水腫壁)を切開し内容液を吸引する

④陰嚢水腫手術精巣固有鞘膜の切除の様子

④精巣固有鞘膜(水腫壁)の切除
アクロサージ使用により止血効果の高い切除ができる

この新しいエネルギーデバイスである『アクロサージ』の使用により、入院治療が必要な陰嚢水腫を、日帰り手術で完結することが可能となりました。現在の保険診療において、『アクロサージ』による陰嚢水腫治療は保険適用外のため、自費診療となります。

横浜みなと外科クリニックでは、Bergmann法を基に、特別な切開方法を用いる陰嚢水腫の日帰り手術に取り組んでいます。

この方法は、液体を排出した後、精巣に最も近い部分をわずかに残して、鞘膜の大部分を円形に切除します。この時、電気メスではなくマイクロ波による切開を行います。マイクロ波は組織に含まれる水分子を振動させることにより生体組織を加熱し、均一な凝固を行います。マイクロ波による凝固・止血能力と、切開することに適したハサミ型の先端を持ち合わせた世界で唯一の手術器械「アクロサージ」で手術を行います。

項目 保険診療 当院自費診療
(アクロサージ)
入院の有無 3〜4日の入院が必要なケースが多い 完全日帰り(当日帰宅)
手術時間 比較的長い 短縮(アクロサージによる迅速な止血)
痛み・出血 標準的 最小限に抑制
仕事復帰 数日〜1週間の安静必要 翌日から可能
デスクワーク等
費用 3割負担 自費診療

当院では陰嚢水腫の状態を検査でしっかりと診断し
患者さまに合った最適な手術方法を提案します。

初診・検査・手術費用(自費)について

当クリニックでのアクロサージを使用した陰嚢水腫の日帰り手術は、自費診療となります。(公的保険適応外)

項目 費用・税別 内容・備考
初診料 8,000円 問診・診察・エコー検査
※手術を希望されない場合はこちらのみ
術前検査 15,000円 血液検査・レントゲン・心電図・各種説明
※手術を決定された場合に実施
手術費用 260,000円 〜
320,000円
手術料・麻酔料・機器使用料・術後薬・術後診察料
※水腫の大きさや病態により変動

【総額の目安】 手術を受けられる場合の合計額は、概ね 283,000円 〜 343,000円(税別) となります。

手術実績について

当クリニックで過去1年間にマイクロ波手術器(アクロサージ)を使用した陰嚢水腫の手術を約50件行いましたが、現在までに術後合併症は認めておりません。 ★当院の手術成績に関する論文が医学雑誌に掲載されました 『泌尿器外科』2025年38(6)医学図書出版株式会社★

医学雑誌『泌尿器外科』に掲載された当院の陰嚢水腫手術成績の論文

成人の陰嚢水腫について

陰嚢水腫とは?

陰嚢水腫は精巣(睾丸)を包む膜(精巣固有鞘膜といいます)の中に水(リンパ液)が溜まり、陰嚢が膨らんだ状態になる病気です。男性であれば子供から大人まで全ての年齢層で起こる良性の病気で、「鼠径部から陰嚢が膨らむ」という症状が鼠径ヘルニアに類似しているのが特徴です。成人の陰嚢水腫については、原因がはっきり分かっていません。外傷や感染などにより生じた精巣固有膜の病的状態(液体の分泌と吸収のバランスが崩れている状態)等が、要因と考えられています。根治するためには手術が必要となります。

陰嚢水腫の種類

陰嚢水腫は、小児に多い交通性陰嚢水腫と大人に多い非交通性陰嚢水腫とがあります。

二次性(交通性)陰嚢水腫: 本来、胎児期に精巣が腹の中から陰嚢へ下降する際に通る道(腹膜鞘状突起)は自然に閉じるのですが、これが閉じずに腹腔と交通が残っているタイプです。腹水がこの交通路を通って陰嚢内に流れ込むことで発症します。

特発性(非交通性)陰嚢水腫: 腹腔との交通はなく、精巣を包む膜からの液体の分泌と吸収のバランスが崩れることで発症します。成人ではこちらが多く、原因は加齢、精巣やその周辺の炎症、外傷、腫瘍、フィラリア症(日本ではまれ)などが挙げられますが、多くは原因を特定できません。

交通性陰嚢水腫

  • 小児に多く、鼠径ヘルニアが併存していることがある。
  • 成長とともに自然治癒する可能性がある。
  • 手術は、鼠径部を切開する方法を選択する。

非交通性陰嚢水腫

  • 成人に多く外傷や感染などにより生じた精巣固有膜の病的状態(液体の分泌と吸収のバランスが崩れる状態)等が原因と考えられている。
  • 自然に治ることはない。
  • 根治手術は、陰嚢を切開する方法を選択することが多い。
CT画像で見る大人の陰嚢水腫
CT画像で見る陰嚢水腫(黄色枠)

陰嚢水腫の症状

最も一般的な症状は、痛みや不快感を伴わない陰嚢の腫れです。陰嚢の腫大(膨らんだ状態)を心配して受診されることが多いです。通常痛みはありませんが、陰嚢が腫れることで不快感や違和感が出てきます。

①痛みのない腫れ

片側または両側の陰嚢が、全体的にやわらかく腫れます。痛みはほとんどありません。

②大きさの変化

腫れの大きさは様々で、鶏卵大から時には新生児の頭ほどにまで大きくなることもあります。交通性の場合、体位(立ったり座ったり)によって大きさが変わることがあります。

③不快感・圧迫感

腫れが大きくなると、重さによる不快感や歩きにくさ、圧迫感を感じることがあります。

※急な痛みや硬い腫れを伴う場合は、精巣捻転や精巣がん等、他の病気の可能性もあるため、すぐに医療機関を受診する必要があります。

陰嚢水腫の診断

診断は比較的簡単で、主に以下の方法で行われます。

①問診と触診

医師が症状の経過を聞き取り、陰嚢を直接触って腫れの硬さや大きさ、圧痛の有無などを確認します。

②透光性試験(トランスイルミネーション)

診察室を暗くし、陰嚢にペンライトなどの光を当てます。陰嚢水腫の場合、液体が溜まっているため光が全体に透けて赤く見えます。精巣がんなどの固形腫瘍の場合は光を透過しません。(当院では超音波検査を行います)

③超音波(エコー)検査

最も確実な検査方法です。超音波を使って陰嚢の内部を画像化し、溜まっている液体や精巣の状態を詳しく確認します。精巣腫瘍など他の病気との鑑別も正確に行えます。

また、精巣腫瘍が原因で陰嚢水腫が生じることがあるため、精巣腫瘍の可能性を否定できない場合には、追加のCT検査やMRI検査等の画像検査と腫瘍マーカーなどの血液検査を行うことがあります。

陰嚢水腫の治療法

成人の陰嚢水腫の治療方法

成人の陰嚢水腫は、症状がなければ必ずしも治療が必要というわけではありません。しかし、腫れが大きくて日常生活に支障が出たり、不快感が強かったりする場合には治療が検討されます。

①経過観察

腫れが小さく、症状がない場合は、定期的に診察を受けながら様子を見ます。

②穿刺・吸引治療

エコー画像を見ながら、針を刺して溜まった液体を抜く治療です。体への負担が少なく外来で簡単に行えますが、根治的な治療ではないため再発をしやすいのが特徴です。頻回に繰り返すと感染の危険性があります。
※穿刺吸引治療は陰嚢内に出血や炎症が生じ、水腫とその周囲の組織や精管、血管と癒着を起こし、後述の根治手術を行う場合、癒着部位からの出血のため手術が非常に困難になります。そのため、過去に頻回に穿刺吸引治療をされた患者さまには日帰り手術ではなく入院治療をお勧めすることもあります。

③手術治療(根治治療)

▪️手術の適応
陰嚢の腫大が強く痛みや違言感があり日常生活に支障が生じ、手術の希望がある場合などが手術の適応となります。

▪️手術方法(Bergmann法):所要時間30〜40分

当クリニックで行なっている手術方法について

当クリニックで行なっている手術方法について説明します。

① 麻酔

麻酔は点滴薬による全身麻酔です。患者さまが眠っている間に手術が行われる状態にします。不安や恐怖を感じないように意識を無くして眠ってもらい、手術中の記憶はなく手術の途中で麻酔が醒めることはありません。

② 陰嚢の皮膚の切開

陰嚢の皮膚を3〜4cm切開します。

③ 水腫の剥離

水腫を陰嚢皮下組織から剥離(はくり)します。

④ 内容液の吸引

水腫の壁(精巣固有鞘膜)を切開して内容液を吸引します。

⑤ 水腫の壁(精巣固有鞘膜)の切除

水腫の壁を切除する際に大切なポイントは、(1) 精巣や精管、血管などを損傷しないように可能な限り広範囲に切除すること (2) 術後の合併症や再発予防のために出血をさせないように切除することです。

術後経過についての説明

術中・術後経過が順調な場合、術後30分程で離床ができます。その後問題がなければ、術後2時間程で退院が可能です。退院後は室内での日常の動きに制限はありませんが、気分不快や創部の痛みが生じたときは休憩を取るようにしてください。
術後の診察は、術後1週間目と2週間目の2回になります。

予測不能な合併症について

陰嚢水腫の手術は、合併症が少ない手術のひとつです。上記のような合併症は比較的予測が可能ですが、それぞれの患者さまに起こる合併症を全て予測することは困難です。予測が困難な合併症の中には、比較的軽度なもの(薬物アレルギーなど)から、生命に直結する重度なもの(心筋梗塞、脳梗塞、致死性不整脈など)まで様々です。早期発見・治療のため、術後に何か体調の変化がございましたら、いつでもご相談ください。

陰嚢水腫の再発について

成人の陰嚢水腫は、手術後に再発する可能性がゼロではありません。
一般的に、手術後の再発率は5〜6%前後と言われています。巨大症例や急激に大きくなった症例、水腫が複数ある症例に再発しやすい傾向があります。

合併症について

陰嚢水腫の手術で、代表的な合併症について説明いたします。

創部出血

陰嚢の皮膚は体の他の部分と比較して血管が豊富で、術後にキズから少量の出血を生じることがあります。多くの場合は自然に止まりますが、血液をサラサラにするお薬を内服している患者さまの場合は、再縫合が必要になります。

陰嚢内血腫・漿液貯留

術後に水腫を取り除いたスペースに血液やリンパ液が貯まり、陰嚢全体が腫れて手術前と同じくらいの大きさになることがあります。多くの場合は自然に軽快します。血液をサラサラにするお薬を内服している患者さまや、大きな水腫の患者さまに多い合併症です。

陰嚢や睾丸の疼痛・腫れ

陰嚢の痛みや違和感が生じます。内服の痛み止めで徐々に軽快していきます。 また、腫れて浮腫むことがありますが、術後数ヶ月で軽快しますので心配ありません

創部感染

手術創部(キズ)の感染は、どんなに予防してもすべての手術で起こる可能性がある合併症です。軽症であれば、創部の処置(洗浄など)や内服薬・外用薬で軽快します。喫煙者や糖尿病の患者さまに多い術後合併症のひとつです。

睾丸萎縮・壊死

ごく稀な合併症です(頻度不明)。主に再発症例や過去に穿刺吸引を繰り返し行った患者さまにみられる合併症です。壊死を起こした場合、摘出手術が必要な場合があります。

 

◎上記の合併症は、過去に穿刺吸引を頻回に行った患者さまに多くなる傾向があります。

陰嚢水腫手術Q&A

自費診療とは?

自費診療とは公的健康保険を使用せず全額自己負担による診療で、通常の保険診療では使用できない先進の医療機器や医療材料を使用したり、保険診療では認可されていない治療を患者さまの希望に応じて行う診療です。メリットとして先進の医療機器を使用することが可能で、より安全な手術や診療が可能ですが、患者さまの治療負担額が大きくなるデメリットも挙げられます。

なぜ自費診療なのですか?

陰嚢水腫手術は、保険診療が認められている疾患ですが、マイクロ波による瞬時の止血で、術後の血腫を予防できる「アクロサージ」を使用することが認められていません。治療に関わる一部を自費・保険診療で行うことは、混合診療となり禁止されております。現在の保険診療制度に沿うことから自費診療とさせていただいております。

自宅で創部(キズ)の処置は必要ですか?

1日1回(シャワー後)のガーゼ交換をして頂きます。1週間後の診察で抜糸を行うまでお願いします。
必要なガーゼは退院時にお渡しします。

就労について?

デスクワークでしたら手術翌日から可能です。重労働や長時間の運転業務等については、術後1週間目の診察後より可能です。

術後の運動は?

運動は術後1週間お待ち頂きます。

シャワー・入浴について?

シャワーは可能です。浴槽にお入りになるのは、抜糸までお控えください。

その他日常生活の注意点は?

帰宅後は、日常の動きに制限はありません。階段の昇降や散歩等も可能です。気分不快や創部の痛みが生じたときは休憩を取るようにしてください。

男性機能について?

陰嚢水腫手術は、男性機能(勃起・射精機能)に影響ありませんのでご安心下さい。

日帰り手術の制約はありますか?

当院で日帰り手術をご希望の場合、以下の4つについてお願いしております。

  1. 手術当日はご家族等と一緒にお過ごしください。(特に高齢者や持病をお持ちの方)
  2. お帰りが車で約1時間以内
    理由:1時間を超えると、出血等の緊急事態に対応できなくなるためです。
  3. タクシーまたはご家族・ご友人の運転する車での帰宅
    理由:麻酔の影響で術後数時間後に、気分不快感やふらつき感が生じることがあります。
    それ自体は悪いことではありませんが、運転中の追突事故、ホーム・階段からの転落事故などへ繋がる可能性があるためです。また公共交通機関では、他人との接触など不可抗力による事故の可能性があるためです。
  4. シャワー・入浴の制限(上記参照)

陰嚢水腫治療ブログもぜひご参考になさってください。
▶︎ 陰嚢水腫に関する解説ブログ

この記事の執筆・監修者

川崎篤史 | 横浜みなと外科クリニック 院長

資格・役職:
・日本外科学会認定 外科専門医
・日本短期滞在外科手術研究会(JSSSA) 役員(世話人)など
▶︎ 詳しいプロフィール

横浜で日帰り手術の普及と技術向上に尽力しています。当院におけるアクロサージを用いた陰嚢水腫の新しい手術手法と安全性については、医学雑誌『泌尿器外科』(2025年38巻6号)にて論文発表を行っており、客観的な医学的根拠に基づいた治療を提供しています。

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