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日帰り手術⑤〜鼠径ヘルニアの日帰り外来手術〜
鼠径ヘルニアの日帰り手術とは・・・③
鼠径(そけい)ヘルニアとは?
桜の季節になりました。各地で満開の便りが届いております。さて、前回の続きで日帰り手術の数が多い鼠径ヘルニアについてお伝えします。
鼠径(そけい)ヘルニアは、「脱腸」ともいわれる良性の疾患です。
鼠径部の筋膜や腱膜に囲われた部分や、筋膜の薄いところから腸や内臓脂肪(大網)などが押し出され、皮膚のところまで飛び出す病気です。
中高年の男性に多い病気で、年間15万件の手術が行われています。腸などが飛び出す場所をヘルニア門という呼び方をし、ヘルニア門の位置により病態が大きく3つに分けられます。
外鼠径ヘルニア 内鼠径ヘルニア 大腿ヘルニア となります。
今回は、加齢によって起こりやすい内鼠径ヘルニアについて、原因・初期の症状・診断・治療方法についてお伝えします。
内鼠径ヘルニアとは・・・
50歳代以上の成人男性に発症することが多いのが内鼠径ヘルニアです。
発症すると、鼠径部のやや内側が膨れて、内鼠径輪から腸や内臓脂肪などが外へ向かって飛び出します。
内鼠径輪より内側の鼠径三角(Hesselbach’s triangle)※という場所から腸や内臓脂肪(大網)が押し出され飛び出す形を内鼠径ヘルニア(直接型)と言います。
中年以降、加齢や生活習慣による組織の脆弱化により発症するヘルニアです。
中高齢男性に多いのが特徴で、内鼠径輪を通らず腹壁を腸や脂肪などの脱出物が押し出し、ヘルニアが起こります。エコー等の画像解剖からは、下腹壁動静脈の内側からの突出があれば内鼠径ヘルニアです。鼠径ヘルニア手術を受けられる方の約20%が内鼠径ヘルニアです。
※(Hesselbach’s triangle)ヘッセルバッハ三角:腹壁の前下部にあり、腹直筋の外側縁・鼠径靱帯と下腹壁動脈に囲まれた三角形領域
内鼠径ヘルニアの原因
外鼠径ヘルニアとは違い、発症原因は後天的(生まれた後に発症する)で、生活習慣による慢性的な鼠径部への圧力や、加齢による腹壁の脆弱化によって鼠径ヘルニアを発症します。
生活習慣では外鼠径ヘルニアと同じく立ち仕事、重いものを持つ仕事、肥満、慢性的な便秘なども、腹圧がかかるので要因になります。
内鼠径ヘルニアの症状
発症すると、鼠径部に膨らみができます。どちらかと言えば痛みよりも不快感や違和感を感じる方が多いようです。
外鼠径ヘルニアと同じく、放置すると陰嚢まで達することもあり、この場合手術で組織を剥離する範囲が大きくなる傾向があります。
また、組織全体の緩みが原因である為、外鼠径ヘルニアよりは、血流が締め付けられる状態を嵌頓(かんとん)状態になる確率は低くなります。
内鼠径ヘルニアの診断
鼠径ヘルニアの診断は、基本的に問診と患部の視診(目でみて観察する)・触診(手で触って調べる)で下すことが可能です。
超音波検査(エコー)を基本に必要に応じてCT検査も追加することがあります。
内鼠径ヘルニアの治療
内鼠径ヘルニアも身体の構造的な問題であるため、自然治癒は期待できませんので症状の軽いうちに手術が必要になります。
鼠径ヘルニアの治療は手術というより修復という言葉が適切かもしれません。
外鼠径ヘルニアとの発生機序の違いから、手術の手順は違いますが、基本は出たところに蓋をするというイメージになります。
手術方法について外鼠径ヘルニアも内鼠径ヘルニアも、鼠径部の皮膚を切開する鼠径部切開法と腹腔鏡法があります。
双方にメリットがありますので、この違いは次の機会にお伝えしたいと思います。
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