BLOG

ブログ

もう入院は不要?鼠径ヘルニアの日帰り手術

【鼠径ヘルニア】もう入院は不要?日帰り手術のメリット・デメリットを徹底解説

「足の付け根に、ぽっこりとした膨らみがある」「力を入れると何かが飛び出す感じがする」 このような症状に心当たりはありませんか?もしかしたら、それは鼠径(そけい)ヘルニアかもしれません。

鼠径ヘルニアとは?放置は危険?

鼠径ヘルニアは、お腹の中の臓器(主に腸や内臓脂肪)が、足の付け根である鼠径部の筋膜の弱い部分から皮膚の下に飛び出してしまう病気で、一般的に「脱腸」とも呼ばれています。加齢による筋膜の衰えや、お腹に強い圧力がかかることが原因とされ、特に高齢の男性や、重い物を持ち上げるお仕事の方、立ち仕事が多い方、便秘がちな方などに起こりやすいと言われています。

この病気の重要な点は、自然に治ることがなく、治療には手術が必要だということです。初期は痛みもなく、手で押さえると引っ込むため軽く考えがちですが、放置は禁物です。飛び出した腸が戻らなくなる「嵌頓(かんとん)」という状態になると、腸への血流が途絶えて組織が壊死し、緊急手術が必要になる危険性があります。そうなる前に、専門医に相談し、適切な時期に治療を受けることが大切です。


主流になりつつある「日帰り手術」とは

以前は鼠径ヘルニアの手術には数日間の入院が必要でしたが、近年は医療技術や麻酔法、手術機器の進歩により、手術当日にご帰宅いただける日帰り手術が安全に行えるようになり、主流となりつつあります。

日帰り手術のメリット

  • 日常生活や仕事への影響が少ない 入院が不要なため、時間的な制約が少なく、ご自身のスケジュールに合わせて治療を受けやすいのが最大の利点です。デスクワークであれば手術の翌々日から、軽い運動や作業は1〜2週間後から復帰できる場合が多く、社会生活への影響を最小限に抑えられます。

  • 医療費の負担を抑えられる 入院にかかる費用(入院基本料や食事代など)が発生しないため、入院治療と比較して自己負担額を大きく軽減できます。もちろん、日帰り手術も健康保険や高額療養費制度の対象となります。

  • 感染症のリスクが低い クリニックに滞在する時間が短い分、院内感染などのリスクを低減できるというメリットもあります。

日帰り手術のデメリットと注意点

  • 術後の自己管理が必要 帰宅後に痛みや体調の変化が起きた場合、ご自身で対応する必要があります。ただし、当院では、24時間対応の緊急連絡先を用意しており、万全のサポート体制を整えています。不安なことがあれば遠慮なくお電話ください。

  • ご家族や周りの方のサポート 手術当日は麻酔の影響が残る可能性があるため、ご自身の運転によるご帰宅はできません。安全のため、ご家族に送迎を依頼するか、タクシーの利用をお願いします。電車バスなども不可抗力から思わず患部に接触も考えられますのでご利用はお控えください。また、帰宅後1〜2日は、家事などでご家族のサポートがあると、より安心して療養できます。

  • 術後の通院と生活制限 手術後の経過を確認するため、数回の通院が必要です。また、シャワーは翌日から可能ですが、湯船に浸かる入浴や激しい運動は、一定期間制限されます。診察時にお身体の状況を判断致しますので、焦らずに回復させましょう。


鼠径ヘルニアは、良性の病気ですが自然治癒はしません。症状に気づいたら、まずは専門のクリニックを受診し、ご相談ください。日帰り手術は、心身への負担が少なく、多くの方にとって有効な治療選択肢です。メリットとデメリットを正しく理解し、ご自身に最適な治療法を選びましょう。

鼠径ヘルニアの日帰り手術について、お気軽にご相談ください。

横浜みなと外科クリニック 院長 川崎篤史

関連記事

日帰り手術①
日帰り手術って・・・ 日帰り手術は、生活のリズムを崩さない。 日帰り手術とは、患者様が手術当日に来院し、手術を受け、その日のうちに帰宅する手術のことをいいます。 入院の必要がなく、手術を受けた数…
臍ヘルニアの治療方針
「臍ヘルニア」今後の治療について、一般的な情報と選択肢をご説明します。ただし、これはあくまで一般的な情報であり、最終的な治療方針は、患者さまの状態や医師の判断によって異なります。必ず医師とよく相談し、…
鼠径ヘルニア(4)治療②
鼠径ヘルニアの治療の歴史 鼠径ヘルニアの治療は、今も昔も外科的に手術をする以外に治す方法はありません。 鼠径ヘルニアの治療の歴史について調べましたのでお話しします。鼠径ヘルニアは、鼠径部の…
鼠径ヘルニアの症状と対応について
鼠径ヘルニアは、鼠径部(足の付け根のあたり)に腸などの臓器が飛び出してきてしまう病気です。初期の段階では痛みを感じないこともありますが、悪化すると痛みが出たり、嵌頓(かんとん)といって飛び出した臓器が…
「鼠径部ヘルニア修得医」に認定されました
日本ヘルニア学会の「鼠径部ヘルニア修得医」に認定されました この度、院長が日本ヘルニア学会の「鼠径部ヘルニア修得医」に認定されましたことをご報告いたします。 この「鼠径部ヘルニア修得医」は、2…
ネットでのご予約
ページトップへ
ネット予約
お電話

お問合せ