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鼠径ヘルニア(2)要因と原因
鼠径部ヘルニアに罹患する年齢について、大きく分けて2つのピークが存在します。一つは乳幼児期で、もう一つは50歳代後半からの中高年期となっています。その理由は、鼠径部ヘルニアの発症要因と原因を知れば理解できます。
鼠径ヘルニアを発症する原因は、①先天性(生まれつき)②後天性があります。先天性の場合、生まれたときからヘルニア嚢が存在するため、乳児期から鼠径ヘルニアを発症しますので、乳幼児期が一つのピークになります。後天性の場合は、立仕事や力仕事・スポーツなどによりお腹に力が加わることより、慢性的な鼠径部への圧力に加え、年齢を重ねる加齢による腹壁の脆弱化によって鼠径ヘルニアを発症します。長期の生活習慣と加齢により発症が増えますので、50歳代後半からの中高年期にもう一つのピークがあります。乳幼児の場合の鼠径ヘルニア発生機序は先天的であり、成長とともにヘルニア門が閉じることもあります。
余談ですが、犬も鼠径ヘルニアになりますが、ほぼ先天性です。そして成長とともにヘルニア門は閉じられることがほとんどのようです。四足で体重を支えるので、鼠径部への圧力が分散されるからですね。二足で生活をする『ヒト』は、鼠径部にかかる圧力も垂直方向ですから、加齢とともに鼠径ヘルニアになりやすいのはうなずけます。
今回は、鼠径ヘルニアの要因と原因についてお話しさせていただきました。初診の患者さまに、幼いころの状況や、職業・趣味のスポーツ、女性には出産回数などお尋ねするのは、診断する上でとても大切で意味のあるものです。診察の際には、できるだけ詳しくご回答のご協力をお願いいたします。
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