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2025年8月6日

鼠径ヘルニアは手術しないとどうなるの?

鼠径ヘルニアは手術しないとどうなる? 入院は必要…?

鼠径ヘルニア(脱腸)は、残念ながら手術をしない限り自然に治ることはありません。放置してしまうと、症状が悪化したり、危険な状態に陥る可能性があるため、注意が必要です。

現在では入院が不要な日帰り手術も広く行われるようになりました。

ここでは、鼠径ヘルニアを放置した場合に起こりうることと、入院を避けるための治療法について詳しく解説します。

手術をしないでいると、どうなるの?

鼠径ヘルニアを放置すると、主に以下のようなことが起こる可能性があります。

  1. 徐々に膨らみが大きくなる: 最初はピンポン玉くらいの膨らみでも、放置するとこぶし大になるなど、徐々に大きくなっていきます。膨らみが大きいほど、手術も複雑になる傾向があります。

  2. 痛みや不快感が強くなる: 膨らみが大きくなるにつれて、痛みや「引っ張られるような感じ」「重い感じ」といった不快な症状が強くなり、日常生活に支障をきたすことがあります。

  3. 最も危険な「嵌頓(かんとん)」のリスク: これが最も注意すべき状態です。

命に関わることもある「嵌頓(かんとん)」とは?

嵌頓とは、鼠径部の穴から飛び出した腸が戻らなくなり、筋肉で締め付けられてしまう状態を指します。

  • 血流が途絶える: 締め付けられることで腸への血流が止まり、腸が壊死(えし)してしまう危険があります。

  • 激しい症状: これまでとは違う、立っていられないほどの激しい痛み嘔吐お腹の張りなどの症状が現れます。

  • 緊急手術が必要: 嵌頓を起こした場合、緊急手術が必要になります。時間が経つほど腸の壊死が進み、腸を切除しなければならなくなったり、腹膜炎を引き起こして命に関わる事態になることもあります。

嵌頓は、鼠径ヘルニアと診断されたらいつでも起こりうる合併症です。この危険な状態を避けるためにも、早期の治療が推奨されています。

入院はしたくない方へ:日帰り手術という選択肢

「手術は必要と分かっていても、仕事や家庭の事情で長期の入院は難しい」という方は非常に多いです。そのような方のために、横浜みなと外科クリニックでも採用している鼠径ヘルニアの日帰り手術という選択肢があります

日帰り手術のメリット

  • 身体的・精神的負担の軽減: 入院による環境の変化がなく、リラックスして治療を受けられます。

  • 早期の社会復帰: 手術当日に帰宅できるため、仕事や日常生活への復帰が早くなります。

  • 費用の軽減: 入院費用がかからないため、全体の医療費を抑えることができます。

手術方法や麻酔技術の進歩により、安全性も高く、多くの医療機関で日帰り手術が実施されています。手術時間は30分~1時間程度で、術後約2時間安静にした後に帰宅できます。

手術以外の治療法は?

残念ながら、成人の鼠径ヘルニアを薬や筋力トレーニングで治すことはできません

  • ヘルニアバンド: 飛び出す部分を外から押さえる「ヘルニアバンド」というものがありますが、これは一時的に症状を緩和するものであり、根本的な治療法ではありません。

  • 筋力トレーニング: 腹筋を鍛えるなどのトレーニングは、かえって腹圧を高め、症状を悪化させる可能性があるため、自己判断で行うのは危険です。

まとめ:まずはお気軽にご相談ください

鼠径ヘルニアは良性の病気ですが、放置して良いことは一つもありません。「嵌頓」という危険な状態を避けるためにも、症状に気づいたら、まずはお住まいの近くにある専門の医療機関を受診し、医師に相談することが非常に重要です。

横浜みなと外科クリニックは、横浜関内・横浜公園近くのアクセスの便利なところにあります。

鼠径ヘルニアの日帰り手術を中心に、いざという時に頼りになれる医療を行なっております。
お気軽にご相談ください。

 

横浜みなと外科クリニック 院長 川崎 篤史

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