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臍ヘルニアの治療方針
「臍ヘルニア」今後の治療について、一般的な情報と選択肢をご説明します。ただし、これはあくまで一般的な情報であり、最終的な治療方針は、患者さまの状態や医師の判断によって異なります。必ず医師とよく相談し、納得した上で治療を進めてください。
1. 成人の臍ヘルニアはなぜ手術が勧められるのか
小児の臍ヘルニアは自然に治ることが多いですが、成人の臍ヘルニアは自然治癒することはありません。 むしろ、放置すると以下のようなリスクがあります。
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増大: ヘルニアが徐々に大きくなり、見た目だけでなく不快感や痛みを伴うようになることがあります。
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嵌頓(かんとん): 最も注意すべき合併症です。飛び出した腸管などの臓器がヘルニアの穴に挟まり、戻らなくなる状態です。締め付けられることで血流が悪くなり、壊死(えし)してしまうと、緊急手術が必要となり、命に関わることもあります。成人の臍ヘルニアは小児に比べて嵌頓しやすいと言われています。
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腸閉塞: 嵌頓が進行すると、腸が詰まってしまう腸閉塞を引き起こすことがあります。
これらのリスクを避けるため、特に痛みを伴う場合や、ヘルニアの穴が小さい場合(嵌頓しやすい)は、手術が強く勧められます。
2. 臍ヘルニアの手術方法
臍ヘルニアの手術には、主に以下の2つの方法があります。
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開腹手術:
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おへそ周辺を切開し、直接ヘルニアを修復する方法です。
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飛び出した臓器を元の位置に戻し、弱くなった腹壁を縫い合わせたり、人工のメッシュ(補強材)を使って補強したりします。
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ヘルニアの穴が小さい場合や、他の持病などで腹腔鏡手術が難しい場合に選択されることがあります。
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腹腔鏡手術:
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お腹に数ヶ所、小さな穴を開け、そこからカメラと手術器具を挿入して行う手術です。
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お腹の中からヘルニアの穴を確認し、メッシュで補強します。
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傷が小さく、術後の痛みが少ない、回復が早いなどのメリットがあります。
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ただし、全身麻酔が必要となり、開腹手術に比べて技術を要します。
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どちらの手術方法が良いかは、ヘルニアの大きさ、患者さまの健康状態によって異なります。 それぞれのメリット・デメリット、リスクについて詳しく説明を致しますので、疑問があれば積極的に質問をしてください。
3. 手術後の注意点と回復
手術後の回復期間や注意点は、手術方法や個人の状態によって異なりますが、一般的には以下の点が挙げられます。
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痛み: 術後は痛みが生じますが、痛み止めでコントロールできます。
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活動制限: 術後しばらくは激しい運動や重いものを持つなどの腹圧がかかる動作は控える必要があります。具体的な期間は医師の指示に従ってください。
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入浴・シャワー: 術後すぐにシャワー浴が可能になることが多いですが、湯船に浸かるのは傷口が完全に塞がってからになります。
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傷口のケア: 傷口の消毒やテープ交換など、指示された通りのケアが必要です。感染予防のために清潔を保つことが重要です。
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再発: 手術をしても、ごくまれに再発することがあります。特に、喫煙、肥満、慢性的な咳、便秘など、腹圧を上げる原因がある場合は再発リスクが高まります。
4. 手術費用
臍ヘルニアの手術は、多くの場合、健康保険が適用されます。自己負担額は、保険の種類や手術方法、入院期間などによって異なりますが、3割負担の場合で数万円程度が目安となることが多いようです。高額療養費制度も利用できる可能性がありますので、医療機関の事務担当者やご加入の健康保険組合に確認することをおすすめします。
手術は不安なものですが、医師から十分な説明を受け、納得した上で治療を選択することが大切です。疑問や不安な点は、遠慮せずに医師・看護師に質問し、安心して治療に臨んでください。
横浜みなと外科クリニックの初診は完全予約制です。お電話・Web予約からどうぞ。
横浜みなと外科クリニック 院長 川崎 篤史
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